こんにちは、阿部です。
株式を公開できない個人や中小企業にとって、ICOはまさに画期的な資金調達の方法です。
同じく投資家にとっても、これまで公開されることのなかったビジネスやプロジェクトに投資することができるようになりました。
しかし最近では、これらICOへの投資を「適格投資家」に限定する動きが出てきました。
万人に開かれた市場であるはずのICOが、そうではなくなってきてしまっているのでしょうか。
なぜICO業界で、投資を「適格投資家」に限定する動きが加速しているのでしょうか?
今回は、こうした「適格投資家」の疑問についてご紹介したいと思います。
適格投資家とは
そもそも、適格投資家とはどのような投資家を指しているのでしょうか?
「適格」な「投資家」、つまり投資をするのに適した人のことを「適格投資家」といいます。
またアメリカの証券取引委員会によると、適格投資家とは以下の条件を満たす人のことをいいます。
- ①100万ドルを超える純資産を持つ
- ②20万ドル以上の年収を持つ
この場合、①②のどちらかを満たしていれば、適格投資家です。
適格投資家の定義は国によっても異なる
ただし、ICOは世界中でおこなわれており、さまざまな国でICO投資を「適格投資家」に限定しようという動きがあります。
その場合、上記のアメリカの証券取引委員会による定義ではなく、それぞれの国で(またはICOで)適格投資家を定めている場合があります。
たとえば、ベラルーシ共和国でもICOへの投資家を適格投資家に限定しようという動きがありますが、その条件はアメリカの証券取引委員会の定義とは異なり、適切な学歴と職歴が必要となる見通しとなっています。
純資産や年収だけではないのですね。
「適格投資家」とは一言で言っても、さまざまな定義があるのが現状です。
適格投資家しか参加できないICOが増加中
上述のように、多くのICO案件は適格投資家のみから投資を募るという方針に変化してきています。
さらに言えば、個人投資家ではなく、ベンチャーキャピタルから投資を募るICOが多くなってきている、という変化も目立っています。
これまでICOには、「誰でも参加することができる開かれた市場」というイメージがありましたが、最近ではその特徴が薄くなってきています。
また、注目の案件の1つに老舗フイルムメーカー「コダック」のICOがあります。
コダックも、適格投資家のみにICO参加を限定していますが、その「適格性」を判断するために、ICOが延期となる事態になっています。
「適格投資家」にICOへの参加を限定する動きは、業界に大きな影響を与えています。
なぜ「適格投資家」に制限するのか?
適格投資家のみに限定したICOが増えているのは、なぜなのでしょうか?
プロジェクト側からすると、なるべく多くの投資家から投資を募ることができる方が有利なはず。
投資家としても、制限がない方がありがたいものです。
にもかかわらず適格投資家のみに制限される理由は、「スキャム」のICOが増加しているからです。
スキャムとは、詐欺やペテンのICO案件のこと。
ICORAのリサーチでは「ICO46%はアイデア止まり」で終わっているとのことで、投資家の利益に繋がらないICOも多くあります。
特にこうしたスキャムに引っかかってしまうのは、ベンチャーキャピタルやプロの投資家ではなく、多くの場合は個人投資家です。
そのため、「適格投資家」というフィルターをかけることで、詐欺の被害者を少なくしようという動きが強まっているのです。
個人的には、適格投資家に限定したICOではなく、誰にでも開かれたICOが多くある世界こそ面白いと感じます。
今後、ICO業界がどのように変化していくかは分かりませんが、「民主的なICO」であってほしいものですね。
そのためには、投資家もよいICOと悪いICOを見分けられるようになることが大切です!