こんにちは、阿部です。
アメリカ大手の銀行の間で、クレジットカードで仮想通貨を買うことを禁止する動きが広がっています。
「振込まなくていいから便利なのになぜ?」と思う方もいるでしょう。
理由、わかりますか?
日本ではまだこのような動きは見られませんが、今後、クレジットカードによる仮想通貨購入のリスクが表面化してくれば国内での規制も考えられます。
今回は、
「なぜクレジットカードによる仮想通貨の購入を規制するのか」
「クレジットカードで買えなくなると市場にどういった影響があるのか」
について解説します。
JPモルガンなど大手が続々カード決済禁止へ
2018年2月6日現在アメリカ大手銀行など海外を中心に、クレジットカードで仮想通貨を買うことを禁止する動きが出てきています。
すでに禁止している銀行やカード会社などは下記の通りです。
- ロイズ・バンキング・グループ(イギリス最大手金融機関)
- バンクオブアメリカ(アメリカ大手金融機関)
- JPモルガン・チェース(アメリカ大手金融機関)
- シティグループ(アメリカ大手金融機関)
- ヴァージン・マネー(イギリス大手金融機関)
クレジットカードはこれらの金融機関に属する
銀行などに発行されています。
たとえば、ロイズ・バンキング・グループでの禁止により、グループ傘下のスコットランド銀行など複数の機関が発行しているカード約900万枚で仮想通貨が買えなくなることになります。
なぜカードで仮想通貨が買えなくなった?3つの理由
クレジットカードの発行企業にとって、カード利用=収入です。
マスターカードは、「仮想通貨の購入によってカードの取引額が1%押し上げられた」つまり、売上が増加したとの見解を示していました。
にもかかわらず、クレジットカードで仮想通貨を買えなくする動きが広まっているのには、3つの理由があります。
理由1 マネーロンダリング防止
クレジットカードで仮想通貨を買うことが許可されている場合、マネーロンダリングの大きな原因になります。
たとえば、クレジットカードを盗難された場合、それを拾った犯人が仮想通貨を購入することにより、犯人を特定することが極めて困難になります。
カード不正利用で得た汚いお金も、キレイなお金になってしまうのですね。
理由2 カード会社のリスク増大
クレジットカード会社は立替による手数料や、ローンの一種であるリボ払いから得られる利息などを収入源としています。
しかしこれは、カード利用者に返済能力があればの話。
仮想通貨をクレジットカードで購入するユーザーの多くは、「元手を持ち合わせていない」からカード払いを選択するのです。
そうなってくると、仮想通貨の下落などにより返済できないユーザーが増える可能性があります。
仮想通貨のクレジットカードでの購入禁止には、このようなリスクを嫌っている背景も挙げられます。
理由3 投資家保護
仮想通貨をクレジットカードで購入する投資家の多くは、「必ず値上がりするはずだ」と信じています。
だからこそ、リスクが高くてもカードを利用した購入に踏み切るのです。
しかし、クレジットカードによる購入は、借金をして投資していることと同じ。
これは投資家のリスクを必要以上に高くしてしまうので、禁止しようという動きが広まっているんですね。
特に仮想通貨はボラティリティ(価格変動率)が大きいため、そこに目を付けられて禁止となった意味合いが強いのではないかと思います。
カード購入禁止で相場はどうなる?
ここからは個人的な考察となります。
クレジットカードで仮想通貨が買えなくなったとしても、おそらく長期的な価格変動には大きく影響しないでしょう。
短期的に見れば、クレジットカード禁止は投機的な購入を抑制してしまうため下落要因の1つになるかもしれません。
ではなぜ、長期的な値下がり要因とはならないのか?
それは、クレジットカードで購入された場合、比較的短期で売られる傾向にあると考えられるからです。
というのも、貯蓄や余裕資金での購入とは異なり、「数年かけてじっくり」というわけにはいかないケースが多いでしょう。
ですから、禁止後しばらくは売りが増え下落要因になったとしても長期的にはほとんど影響しないと言えます。
今回は、アメリカ大手銀行などにおいて、クレジットカードで仮想通貨が買えなくなりつつあるという動向についてご紹介しました。