こんにちは、阿部です。
ネム580億円の流出が発覚したコインチェックに対し、金融庁が2月2日、立ち入り検査をおこないました。
流出させた資産についてコインチェックがどういった管理をしていたのかや、セキュリティは本当に万全だったのかなどについて取り調べが実施されることになります。
そこで今回は、コインチェックに立ち入り検査がおこなわれるようになった経緯について詳しく解説していきます。
また、今回の立ち入り検査を投資家としてどのように考えればよいのかについて個人的な見解も合わせて述べさせていただきたいと思います。
コインチェックに金融庁が立ち入り検査
上述のとおり、金融庁は2018年2月2日改正資金決済法にもとづき立ち入り検査をおこないました。
改正資金決済法にもとづく業務改善命令も1月29日に出されましたが、その4日後である2月2日にはすでに立ち入り検査。
異例の早さに、金融庁が事を大きく捉えていることがうかがえます。
立ち入り検査とは、行政機関の命令により担当者が企業の事務所を直接訪問し、法律に違反しているところがないかなどをダイレクトに調査することです。
国内には10を超す仮想通貨取引所がありますが、コインチェックのみが流出事件を起こしたことから本当に適切なユーザー資産の管理がおこなわれていたのか?
ずさんなところがあったのではないか?ということが疑われています。
そこで、金融庁の立ち入り検査がおこなわれているわけですね。
1月28日には業務改善命令も
また、金融庁は1月28日、改正資金決済法にもとづく業務改善命令をコインチェックに出しています。
ネム流出が発覚した1月26日、金融庁はその原因究明などの報告をコインチェックに求めました。
そのため2日後、コインチェックは金融庁に報告をおこないましたが、金融庁はこれに対し、「発生原因の究明や顧客への対応、再発防止策等に関し、不十分なことが認められた」と評価。
そしてこれが1月28日の業務改善命令につながりました。
金融庁が問題視しているのは、
「流出の原因が不透明であること」
「流出後、顧客への適切な対応がなされていないこと」
などです。
つまりコインチェックは、顧客のネム580億円を守れなかったことのみならず、その後の対応や、原因の究明などについても改善する必要があると金融庁に評価されているのです。
コインチェック事件を楽観視する雰囲気
コインチェックでネムが流出した1月26日とその翌日、
「コインチェックは580億円ものお金を払う能力はない」
「失ったお金については、泣き寝入りになるだろう」
という意見が多数でした。
しかし、コインチェックが日本円での返金をおこなう旨を発表した1月28日以降、市場では楽観的なとらえ方が広まっていきました。
なかには、「コインチェック凄すぎる!さすがだ!」とコインチェックを賞賛するような意見や、「今回の事件で、コインチェックを含むすべての取引所でセキュリティが強化されることになるはず」といったセキュリティ改善を期待する前向きな声まで聞かれるようになっています。
長期的な値動きに影響はないと考えられる
2014年に発生したマウントゴックス事件では、480億円分のビットコインが流出しました。
その結果、多くの取引所がセキュリティの見直しを迫られ、安全性の向上に注力したと見られます。
取引所の不祥事はあってはならないことですが、このことは、ほとんど間違いがないでしょう。
また、マウントゴックス事件が発生したにもかかわらず、ビットコイン価格は急騰しつづけて現在に至ります。
そのため個人的には、「取引所での仮想通貨流出は、長期的な値動きに影響はない」と考えています。
コインチェック事件を楽観視する意見も、一概に的外れな考え方とはいえないでしょう。
僕たち投資家としては、「コインチェック事件などを恐れて投資しない」という選択よりも「流出事件に巻き込まれないように注意して投資する」ということのほうが重要となります。
たとえば、コールドウォレットを契約したり、取引所を分散させておくなどの対策が考えられますね。
今回は、コインチェックの立ち入り検査についてお伝えしました。