こんにちは、阿部です。
ロシアのメッセージアプリ「テレグラム」のICOが17億ドル(約1800億円)を調達し、大成功となりました。
1800億円の調達額を誇るとなると、いくらICOの数が多いとはいえ、まれに見る規模の大きさです。
たとえば2018年1月~3月に行われた無数のICOのなかで4番目に大きな規模となっています。
こうしたテレグラムICOの大成功を受けて、ライバルに当たる一部の関係者や、金融関係の人々の間で危機感が広がっているとのこと。
いったいどのようなことなのでしょうか?
テレグラムとは?
テレグラムについて、いったいどのようなサービスなのか、簡単におさらいしておきましょう。
テレグラムとは、メッセージアプリの1つです。
たとえば日本国内だと、もっとも普及しているのは無料通話アプリ「LINE(ライン)」ですよね。
メールや電話ではなく、アプリを通じてやりとりができる分野において、テレグラムは大きなシェアを持っています。
テレグラムそのものは、国内では普及率が低いのですが、世界を見渡してみるとユーザー数は1億人をオーバーしています。(LINEのユーザー数が世界全体で2億人です)
またセキュリティ性能が極めて高いという特徴があります。
まとめると、テレグラムとは、「LINEと似ている大規模なメッセージアプリでセキュリティ能力の高さが売り」といったイメージですね。
テレグラムがICOで1800億円を調達
そんなテレグラムは、メッセージアプリでありながら仮想通貨の事業にも積極的な姿勢をとっています。
大規模なICOを実施し、約1800億円の調達に成功。
成功要因は、テレグラムそのものが非常に信用力が高く、(LINEがICOを行うようなイメージですね)知名度が高いからでしょう。
通常であれば、「テレグラムすごいね!」というポジティブなニュースとして取り上げられるはずですが、実は、関係者の間である「危機感」が大きくなっているといいます。
市場関係者はテレグラムICOに「危機感」
危機感を感じているのは、テレグラムが成長することやテレグラムのような企業が増えてくることでシェアが低くなる恐れのある企業や団体です。
テレグラムを開発しているドゥーロフ氏は今後、クラウドサービス(データをインターネット上に保管するサービス)や買い物の支払い(決済)まで、可能なものをすべてブロックチェーンに置き換えることが目標。
また、テレグラム社の発表によると、テレグラムのトークン「グラム」を、現状のクレジットカードの代替手段となるレベルの規模で成長させることを目標としているようです。
テレグラムが成功し、シェアを伸ばしていく過程でライバルとなる多くの関係者が危機感を持つのも無理はありませんよね。
ICOによって証券市場も不要に?
ICOは近年、詐欺などの例も多いことから「メインの資金調達手段とはならない」と認識されています。
事実、一部上場企業でもICOを実施する企業はまだまだ少ないのが現状です。
しかし、時代が進めば、新しいテクノロジーとして当たり前に行われるようになるでしょう。
法律も整備され、悪質なICOも駆逐されていくことになるはずです。
こうしたICO全盛期がやってくると、市場にどのような変化が起きるでしょうか?
まず、「株式」というものが不要になる可能性があります。
ICOで発行したトークン(仮想通貨)が株の代わりとなるからです。
同時に、証券取引所や証券会社の役割も小さくなってきます。
資金調達に関わるベンチャーキャピタルも、不要となるでしょう。
こうした考え方は、2018年現在においてはまだまだ実感がわきにくいものとなっていますが、予測能力の高い企業や関係者にとっては、危機感を高める理由としては十分なのでしょう。
今回は、テレグラムのICOについて取り上げました。
テレグラムのように大成功したICOを分析するのはよいことです。
同じようなICOが別の機会に成功を収めるケースも多いからです。
引き続き、注視していきたいところですね。