「法人(会社)で仮想通貨に投資をしているけど、税金の計算はどうなるんだろう」
「まだ法人化はしていないけど、個人と法人のどちらが税金が安いのかな?」
と悩んでいませんか?
そこで今回は、以下のポイントについて解説していきます。
詳しくみていきましょう。
仮想通貨の所得には「法人税」がかかる
仮想通貨に投資している法人が利益を出した場合には、その一部を「法人税」として支払う必要があります。
法人税とは、その名前のとおり「法人が得た利益に対してかかる税金」のことですね。
個人でいうところの所得税と似ていますが、法人税では、所得額のうち、何パーセントを税金として納める必要があるかという「税率」が、個人とは異なっています。
ごく一般的な普通法人では、
- 所得800万円以下の部分→15%(もしくは条件により19%)
- 所得800万円超の部分→23.20%
と、およそ20%前後の税率となっています。
一応、計算式を示すと、ごく簡単ですが「法人税額=所得(会社の儲け)×税率」となります。
仮想通貨などで2000万円の利益が出ている場合には、400万円前後が税金として出ていくイメージですね。
なお蛇足ですが、法人税の税率は年々下がってきているので、ひょっとすると今後さらに下がり、法人成りしたほうが有利な時代になるかもしれません。
仮想通貨投資における「個人」と「法人」の最大の違い
あなたは、「大きな利益が見込める場合は、法人で投資したほうが有利」と聞いたことがありませんか?
仮想通貨投資における個人と法人の最大の特徴は、まず、税率にあります。
仮想通貨の利益にかかる個人の所得税は2021年現在、15%~55%(住民税含む)となり、最大で利益の半分以上を税金に取られてしまいます。
そのため最大でも23.20%の法人のほうが、(大きな利益を狙える場合は)明らかに有利です。
仮想通貨の利益は毎年変動するものではありますが、仮想通貨投資の所得が700万円を超えてきたあたりから、法人化を検討したほうがいいでしょう。
ただし、ひとつだけ落とし穴があります。
平成31年(2019年)度の税制改正により、法人では、「ホールドしている仮想通貨の含み益」に対して(売却せずとも)税金がかかることになりました(原価法から時価法での計算に変わりました)。
この含み益まで計算しなくてはならないという点が、とても面倒なんですよね。
個人では未だ、含み益には課税されず、売却するなど利益を確定させた場合のみ課税となるため、(どれだけ利益が出ていても)ガチホしていれば課税を先送りにし続けることができますし、なにより簡単です。
時価法の適用は法人にとっての大きなデメリットなので、特に長期投資家は、法人化を慎重に考えたほうがいいでしょう。
仮想通貨を会社、法人で投資するメリット
とはいえ、税金の計算方法や仕組みを考慮すると、投資家が会社や法人を設立するメリットは多くあります。
そのほか、法人の税金について考慮すべき注目ポイントをみていきましょう。
法人は、仮想通貨の「損益通算」ができる
仮想通貨は価格変動があるものなので、年によっては赤字になることがあります。
その場合、法人は事業所得の損益通算が可能となり、2018年4月1日以降の赤字は最大10年間、繰り越せるようになっています。
先ほど、個人とは異なり「法人は仮想通貨を売却していなくても、含み益があれば所得と見なして課税される」と述べましたが、これは損失が出ている場合も同じ。
つまり、期末時に時価が購入価格を下回っている場合には、自動的に損失を計上することができます。
個人で投資した場合には、仮想通貨の総合課税の雑所得において損益通算が認められていないため、損失を計上することはできません。
この点は法人が有利です。
経費を多く計上できる場合がある
一般的に、個人よりも法人のほうがより多くのコストを「経費」として計上できます。
代表的なのが「社宅」で、たとえば自宅のマンションを社宅化することで、場合によっては家賃の8割以上を経費に計上し、所得から差し引くことができます。
何割を経費にできるかは、総床面積のうち何割をプライベート、何割を事業に使っているかにもよりますが、少なくとも家賃の5割(10万円の家賃なら5万円)程度を経費にするケースは多くあります。
これは非常に大きな節税になります。
短期・中期トレードは法人と相性良し
「法人税」では、ホールドしている仮想通貨の含み益に対して、売却せずとも税金がかかりますが、これは裏を返せば、短期・中期トレードが中心であれば、それほどデメリットとはなりません。
どのみち、個人で投資をしていても利益を確定することになってしまうからですね。
一方で、ガチホをする場合には、法人の時価法での計算は非常に警戒すべきです。
含み益にも課税されるということは、仮想通貨を売りたくなくても、税金を払うため仮想通貨を一部売却するしかなくなる可能性があるからです。
これは翌年の利益を取り逃がすことになるかもしれませんし、複利の観点からも元本を削ることになり不利です。
もちろん、「自分はまとまった現金があるからいいよ!」という方は問題ありませんが、2020年のように仮想通貨が爆上げした年ほど、税金も高くなるので厳しくなります。
法人と個人、どちらが有利なのか、自らの投資金額とスタイルを考慮しながら、検討する必要があるでしょう。