Mt.GOX(マウントゴックス)とは?事件や原因、価格への影響は?

仮想通貨用語解説

「Mt.GOX(マウントゴックス)という名前をよく聞くけれど、一体なんのことなんだろう?」

仮想通貨価格への影響もあるって話だけど、具体的にどういうこと?」

と疑問を感じている方も多いでしょう。

そこで今回は、Mt.GOXについての以下のポイントをわかりやすく解説していきます。

この記事でわかること
  • Mt.GOXとは
  • Mt.GOX事件の原因
  • Mt.GOX事件による市場への影響

さっそく詳しくみていきましょう。

Mt.GOX(マウントゴックス)とは

出典:Mt.GOX

Mt.GOXとは、国内の仮想通貨取引所のひとつです。

2009年にトレーディングカードを交換するためのサービスとして設立されましたが、仮想通貨の将来性に着目し、2010年にビットコインの取引所を開始しました。

2013年には、世界のビットコイン取引量の70%以上を占めるなど、Mt.GOXは東京が誇る世界最大の仮想通貨取引所へと成長しました。

ただし、2014年に当時のレートで約470億円の仮想通貨を流出させたことで一旦は事実上の破産状態となり、2021年現在、民事再生法手続きに移行しています。

Mt.GOXの流出事件の詳細と原因

Mt.GOXが受けたハッキング事件の詳細と経緯、原因を振り返っておきましょう。

2011年6月19日

Mt.GOXは、2011年にハッキングを受け、875万ドル(約9.1億円)の仮想通貨を流出させています。

ただしこのときにはMt.GOXの規模からすると流出額が少額だったため、破産状態には陥りませんでした。

2014年2月7日

この日がいわゆる「Mt.GOX事件」の発生日です。

流出したビットコインは、顧客資産「約75万BTC」と、Mt.GOXが保有する「約10万BTC」であり、これは日本円にすると約470億円にも上ります。

これによりMt.GOXは事実上の破産状態となります。

ちなみに、ビットコインはこのとき1BTC=約47000円で推移していました。

2021年現在、ビットコインは最高420万円前後まで値上がりしているので、現在のレートで計算すると、流出額は数兆円規模だったことになりますね。

2014年4月24日

Mt.GOXが破産手続きを正式に開始しました。

2015年8月1日

顧客資産を横領したとして、Mt.GOXの元CEOであるマルク・カルプレス氏が逮捕されます。

ハッキング事件に続く、3度目の不祥事です。

とはいえ同氏が横領したという証拠は不十分であるとして、2016年7月に保釈され、無罪になっています。

2018年6月22日

Mt.GOXの流出事件により被害を受けた顧客は、まだ返金を受けていない状態でした。

これはMt.GOXに補償能力がなかったためですが、仮想通貨市場の上昇により、状況が変わってきました。

Mt.GOXがハッキングされた当時から保有していたビットコインが上昇し、2000億円以上となったため、これを売却すれば顧客の100%に当時のレートで返金ができるようになったのです。

これを受けてMt.GOXは「破産手続き」ではなく「民事再生法手続き」に移行します。

民事再生は破産とは異なり、利害関係者が納得できる形で再生計画を策定することで、Mt.GOXに事業継続のチャンスが与えられます。

2021年現在も、民事再生に向けた動きが進められています。

Mt.GOX事件の原因

これは一口でいえば、Mt.GOX内部の管理体制の甘さからくる、セキュリティ能力の低さです。

2011年、2014年と二度のハッキング事件のみならず、2015年には内部の横領騒ぎもありました。

巨額のビットコインを保管しているため、ハッカーの格好の標的であるにもかかわらず、管理体制がずさんであったといえます。

もちろん、ハッキングの原因は「ビットコイン」自体にあるわけではありません。

しかし当時はMt.GOX事件によって、「ビットコインは怪しい」というイメージが先行してしまいました。

Mt.GOX事件の仮想通貨市場への影響

Mt.GOX事件は非常にインパクトが大きかったため、仮想通貨市場全体に影響が及びました。

大きく分けると、「価格」と「取引所のセキュリティ」の2つです。

価格

Mt.GOXの管財人・小林信明氏は、「東京のクジラ」として恐れられています。

Mt.GOXは顧客に返金するため、保有しているビットコインなどの仮想通貨を売却しており、海外ではこれを「東京のクジラによる売り圧力」と呼んでいるんですね。

Mt.GOXは、2017年9月~2018年3月にかけて、約430億円相当のビットコインとビットコインキャッシュを売却しました。

また、2018年3月~6月にかけて、260億円相当の同じくビットコインとビットコインキャッシュを売却しています。

その後に発表されたリーク情報では、小林氏はこの大量売却に国内取引所ビットポイント(BITPoint)を利用していたことも示唆されています。

取引所での大量売却は相場下落に直結するため、これが事実だとすると、2018年の仮想通貨バブル崩壊は小林氏の動向が大きく影響したものだったのかもしれません。

取引所のセキュリティ

「仮想通貨取引所には信頼性が重要」と広く認められると、2017年4月には「改正資金決済法」が施行されます。

ここで、仮想通貨取引所が金融庁による「登録制」となり、仮想通貨交換業者ライセンスの保有が信頼性の証としてみられるようになりました。

事実、「資金力」「取り扱い通貨」「セキュリティ」「資本金」など様々な条件をクリアしなければ仮想通貨交換業者ライセンスを取得できないため、取引所のセキュリティは大きく向上しました。

これから仮想通貨投資を始められる方にとっては、当時と比較にならないほどの高い水準の環境で、仮想通貨を取引できるようになったと言えるでしょう。