こんにちは、阿部です。
「仮想通貨やICOは有価証券なのか?」という議論がこれまでも盛んにおこなわれてきました。
そして特に最近、この議論が強さが増してきています。
仮想通貨やICOを法律上の有価証券とみなすのか、それとも独立した存在としてみなすのかは、これからの市場価格を予測する上でも重要となってきます。
この問題はアメリカを中心に、仮想通貨の関係者はもちろんのこと、大手メディアなどでも取り上げられるほど注目されています。
先日、イーサリアムとリップルの2つの仮想通貨について、ゲーリー・ゲンスラー氏が「有価証券だ」と発言したとのニュースがありました。
いったい、どのようなことなのでしょうか?
仮想通貨が取引所で買えなくなる可能性も?
本来、仮想通貨は1つの通貨として独立して存在しています。
「株式」「FX」などのその他の金融商品とは異なっていることが感覚としておわかりになるでしょう。
しかし最近、法律的な問題としての仮想通貨の位置付けをどのようにするか、という議論が盛んにおこなわれています。
株式や債券など、価値のある証券のことを「有価証券」といいますが、「仮想通貨を有価証券の大きなくくりの1つ」として(法律上では)取り扱おうという動きです。
もしそうなれば、どのような変化が業界に起きるのでしょうか?もっとも大きな変化は、ほとんどの仮想通貨がこれまでの取引所で売買できなくなることです。
有価証券を売買することができる取引所は、仮想通貨の取引所よりもずっと厳しい審査が求められます。
そのため、有価証券を売買できる取引所に仮想通貨を上場させるのは非常に難しいのです。
最悪の場合、仮想通貨を取り扱うことのできる取引所がゼロになってしまうことも考えられます。
ゲーリー・ゲンスラー氏の発言
このような状況の中、さらに「イーサリアムとリップルを有価証券とみなす動きが強まっている」というニュースがありました。
マサチューセッツ工科大学のブロックチェーン研究者のゲーリー・ゲンスラー氏は、イーサリアムとリップルの2つの仮想通貨について、「非準拠証券であるという揺るぎない根拠がある」と述べました。
ゲーリー・ゲンスラー氏のような有識者の発言により、「やはり仮想通貨は、有価証券だったのか?」という空気がかなり強くなってきました。
イーサリアムとリップルにとって向かい風?
このような両通貨を有価証券とする指摘に対し、イーサリアムとリップルの両通貨は、強く反発しています。
立場を考えるとこれは当然のことで、もしリップルとイーサリアムが有価証券であるとすれば、有価証券に準じた強い規制がかけられるため、(これまでの取引所で買えなくなる可能性など)最終的には、値下がりの可能性も考えられます。
この事情を日本に当てはめて考えてみましょう。
有価証券が売買されているのは「東京証券取引所」という機関ですが、上場させることは非常にハードルが高いのです。(そのため「上場企業」の言葉が勲章となるのですね)
リップルやイーサリアムが有価証券であるとすれば、こうした公的な取引所への上場を目指す必要が出てくるのです。(※日本に例える場合。アメリカも基本的には似た仕組みです)
仮想通貨が法律上の有価証券なのかどうかは、これからさらに争われるところで、現時点では断言できない状況です。
しかし、イーサリアムとリップルに向かい風が吹いているということは間違いないでしょう。
なぜイーサリアムとリップル?
ゲーリー・ゲンスラー氏は、なぜイーサリアムとリップルだけが「有価証券だ」と指摘しているのでしょうか。
ゲーリー・ゲンスラー氏や、多くの有識者たちは、ビットコインやモネロといった仮想通貨については有価証券に該当しないだろうとしています。
ビットコインなどは「ICOの実施を前提とした設計ではない」からです。(ICOトークンこそ、「有価証券では?」と指摘される理由です)
また、リップルについては、仮想通貨を管理しているのが1つの会社(Rypple社)であることから、完全な分散型のビットコインなどとは異なるため、有価証券に該当するのではないかと言われています。
この問題は、価格に影響する問題なのでリサーチに値するでしょう。
引き続き、イーサリアムとリップルや、その法律的な位置づけを見守っていきましょう。