「仮想通貨とICOは有価証券」に大手VCが反発!その理由は?

仮想通貨ニュース

こんにちは、阿部です。

仮想通貨はこれまで、独自の発展を遂げてきました。

金融の世界には仮想通貨の他にも、株式、債券、商品などさまざまなジャンルが存在しますが、仮想通貨はそのどれとも異なるものです。

しかし最近、「仮想通貨は、有価証券の一種なのか」という議論が盛んにおこなわれています。

そんな定義はどちらでもよい」と言いたいところなのですが、実は一概にそうともいえないのです。

今回は、仮想通貨は有価証券なのか、法的に有価証券と認められるとどのような変化が起きるのかについて考えてみたいと思います。

SECの委員長「ICOは有価証券」

仮想通貨は有価証券として扱うべきではないか、という考え方がアメリカを中心として議論されています。

アメリカ証券取引委員会(SEC)の委員長は、「今まで私が見てきたICOを有価証券であると考える」と発言。

ICOは、企業などの資金調達の手段とされたり、投資家はそれに投資することでリターンを目指せたりする性質がありますよね。

その性質が「有価証券(株式)」に近いというのです。

それと同時に、アメリカ証券取引委員会の委員長は、ICOは有価証券の提供であるため、アメリカ証券取引委員会は有価証券として規制すべきであるとの意見も述べています。

大手ベンチャーキャピタル、有価証券扱いに反発

ICOを有価証券として扱うべきだという動きに対し、仮想通貨の大手ベンチャーキャピタル(VC)が強く反発しています。

2018年3月28日、大手ベンチャーキャピタル「Andreessen Horowitz」「Union Square Ventures」は、仮想通貨を有価証券として取り扱う法案に反対するため、アメリカ証券取引委員会とワシントンで会談を行いました。

これら2つのベンチャーキャピタルは、すべての仮想通貨を「有価証券」として扱うのではなく、いくつかの仮想通貨を「ユーティリティトークン」に分類してはどうか、と提案しました。

有価証券扱いのICOは魅力が半減?

なぜ、仮想通貨が有価証券として取り扱われるかどうかという問題が重要なのでしょうか。

1つの理由は、有価証券として取り扱われると法律による規制が強くなってしまうからです。

法律では、すべての有価証券は、それを取り扱うことを認められた取引所でしか売買することはできません。(もちろん現状、そうした取引所のなかで仮想通貨を扱っているところは1つもありません

日本のケースにたとえてみると、株式は「東京証券取引所」などで売買することができますが、そこに株式を上場させるには、厳しい審査を通過する必要があります。

仮想通貨が有価証券であるとすれば、すべての仮想通貨はそうした厳しい審査を経ないと取引できないということになってしまうのです。

すると、小規模のICOは全く実施されなくなってしまうでしょう。(※議論はアメリカで起きています)

結局、仮想通貨は有価証券なの?

仮想通貨やICOは、アメリカで有価証券とみなされる可能性が高いのでしょうか?

確実なことはわかりませんが、1つの論点として、「仮想通貨は株式としての役割しか果たせないのかという問題があります。

これから暗号通貨が一般社会で広く用いられるようになれば、日本や米ドルなどの法定通貨と同じように、実際の店舗や、インターネット通販などの支払い手段として普及します。

そうなれば、文字通り「仮想通貨」(お金)として使われることになるため、有価証券とはかけ離れたものになります。

2018年現在の暗号通貨の使われ方は、「利用(支払い)目的」よりも「資金調達」「投資目的」という側面が強くあります。これが、「ICOは有価証券だ」と言われてしまう原因です。

普及が進み、仮想通貨は「通貨」(お金)としての価値を高めることができるのか。

それが今後の仮想通貨の法律的な取り扱いを決める上で大切となってくるでしょう。