暗号通貨を安全に利用するには、その特徴をしっかり理解しておくことが大切です。
よくわからないと言われる仕組みの一つに、ビットコインなどの「公開鍵(public key)」と「秘密鍵(private key)」があります。また「アドレス」についてもそうでしょう。
この部分は、暗号通貨の仕組みの中核にあたるため、暗号通貨そのものを理解するのに重要です。また、セキュリティー上、安全にコインを利用するためにも必要な知識となります。
ここで一旦、これらの関係性や役割を確認しておきましょう。
公開鍵と秘密鍵はセットで1つ
「公開鍵」と「秘密鍵」の特徴の1つは、これらの2つの鍵(キー)がセットになっていることです。2種類のキーはバラバラの扉を開けるためのものではなく、1つのコインを使うためにあります。
ビットコインなどのP2P型暗号通貨は、分散型なので中央(特定の管理主体)が不在です。データはネット上に分散して保存されているため、本来、誰にでもコインを使うことができてしまいます。
しかしこれでは通貨として機能しません。そこで、「公開鍵」と「秘密鍵」の2つを利用することが提案されました。暗号通貨を安全に機能させるための工夫です。
大まかには、
公開鍵=世界中に公開されている鍵
秘密鍵=自分しかしらない鍵
です。
公開鍵(public key)とは?その役割は?
公開鍵(public key)とは、上述の通り2つのキーのうち「世界中に公開している鍵」、つまり誰にでも知ることができる鍵のほうです。
公開鍵はアドレスと似ているが、厳密には異なる
公開鍵は「アドレス」と混同されがちです。どちらも所有者以外にも公開されている文字列なので、関係性がつかみにくくなっています。
結論からいえば、公開鍵とアドレスはとてもよく似ていますが、厳密には異なるものです。
公開鍵は、非常に長い文字列で構成されています。これはビットコインのシステムにとってはまったく問題ありませんが、人間が取り扱うには長すぎて不便です。
そこで、公開鍵をあるフィルターにかけることで短くし、それをアドレスとして利用しているのです。つまりアドレスは公開鍵から生成されているものになります。
アドレスは銀行でいうなら「口座番号」のようなもの。コインを送金するのに欠かせないものなので、なるべく短く、見やすいほうがよいということです。
秘密鍵(private key)とは?その役割は?
秘密鍵(private key)とは、公開鍵とは反対に「自分しかしらない鍵」のことです。公開鍵はすでに公開されているため、セキュリティー上の取り扱いに注意する必要はありません。
一方、秘密鍵についてはその取り扱いに細心の注意が必要です。
秘密鍵は、銀行でいえば「暗証番号」のようなものです。それがなければ預けているお金を振り込むことはできません。引き出すこともできません。
暗号通貨でいえば、誰かへ送ることもできず、支払うこともできなくなります。
秘密鍵にはどんな役割がある?
ただし、「暗号通貨」と「銀行のお金」の異なる部分は、銀行のお金は個人情報と紐付けられているのに対し、「暗号通貨は個人情報と紐付けられていない」ということです。
銀行の口座番号や暗証番号を忘れたとしても、再発行することができます。なぜなら、口座番号と個人情報が紐付けられているので、たしかに〇〇さんのお金だと分かるからです。
しかし暗号通貨の場合はそうではありません。ウォレットとあなたは紐づけられていません。これが銀行とは異なる暗号通貨の秘密鍵の怖さです。
そして秘密鍵には、「知っていれば送金することができる」という特徴があります。当然、公開鍵と秘密鍵はセットである必要がありますが、公開鍵は誰でも知ることができます。
秘密鍵を知られれば、2つのキーをセットで知られたことになり、コインを送金できるという性質上、もはや盗まれたも同然です。
ウォレットは秘密鍵の「金庫」
このような特徴からいえることは、「コインを所有している」=「そのコインの秘密鍵を知っている」ということです。
そのため、秘密鍵は「絶対」に誰にも知られてはいけません。もちろん、知り合いに会ったとき「自分の秘密鍵は〇〇だよ」と教える人はいませんが、注意しなければならないのは「ウォレット」選びです。
ウォレットの中には、その管理者に秘密鍵を教えなければならないものも多くあります。そんなウォレットが当たり前のように利用され、大金が保管されている現状があります。
これは秘密鍵は誰にも知られてはいけないという原則から外れており、大変危険です。
ですので、多額のコインを保管する際は、管理者に秘密鍵を知られてしまう「取引所の口座」や「ウェブウォレット」はなるべく控えましょう。
今回は、「公開鍵」と「秘密鍵」とは何か?どんな関係性があるのか?などについて解説しました。ビットコインなどの暗号通貨は、このような仕組みになっています。