「イーサリアム (Ethereum)ってどんな仮想通貨なんだろう?」
「2.0へのアップデートが上昇要因らしいから、もう一度、基本から知っておきたいな」
と疑問に思っていませんか?
この記事では、「プラットフォーム系仮想通貨」の王者ともいえるイーサリアムについて徹底解説。
特に、以下のポイントを重点的にご紹介していきますよ。
さっそく、詳しくみていきましょう。
イーサリアム (Ethereum)とは?
イーサリアムとは、ロシア系カナダ人のプログラマである、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が開発した仮想通貨。
2014年にスタートし、2020年現在では時価総額はビットコインに次ぐ2位です。
様々なプロジェクトが採用する「プラットフォーム系」の仮想通貨としては、断トツのシェアを誇っています。
プラットフォーム系仮想通貨とは
プラットフォーム系仮想通貨とは、親(ここではイーサリアム)のブロックチェーンを利用し、子(イーサリアムを採用する仮想通貨プロジェクト)が独自トークンを発行したり、イーサリアムのブロックチェーン上でアプリケーションを動かしたりできる仮想通貨のことです。
もっとも有名な「ビットコイン」は、単純に「コインを送金しあう」機能が中心となっているため、新たな独自トークンを発行したり、ブロックチェーン上でアプリケーションを動かしたりすることはできません。
つまり、プラットフォーム系仮想通貨ではないのですね。
たとえば、イーサリアムは「分散型アプリケーション(DApps:Decentralized Applications)」のプラットフォームになることが可能です。
DAppsは、特定の管理者(企業、政府、銀行など)がいなくても、イーサリアムのシステムのみで稼働する「アプリ」のことです(詳しくは「DApps(ダップス)とは?仕組みや種類、今度の将来性は?」で解説しています)
さらにスマートコントラクト(Smart Contract)を動かすこともできます。
スマートコントラクトは「契約機能」の一種で、人間同士が約束しなくても、プログラムによって「契約」を追加できます。
たとえば、「○○の条件になったら、AさんがBさんにイーサリアムを支払う」などの柔軟な取引がコードによって制御できます(もちろんイーサリアムをプラットフォームとして採用している独自トークン〈ERC20〉もスマートコントラクトを利用できます)。
このように、非常に汎用性が高いのがイーサリアムの特徴となっています。
Ethereum Classic(イーサリアムクラシック)との違いは?
イーサリアムと、イーサリアムクラシック(ETC)の違いについて気になる方もいるでしょう。
イーサリアムクラシックは、もともと1つのコインだった「イーサリアム」の内部で生じた、派閥争いによって誕生したコイン。
もともとは1つのコインだったので、両者は「ほぼ同じ機能を持つコイン」といっても過言ではありません。
しかし、大きな違いがひとつあります。それが「思想」です。
- イーサリアムクラシック:「ブロックチェーンは人為的に改ざんされるべきではない」というルールをあくまで徹底して守る方針(非中央集権の徹底)
- イーサリアム:「ブロックチェーンは人為的に改ざんされるべきではない」というルールを基本としながらも、場合によっては柔軟に対応する方針(若干、中央集権的でもある)
これは「THE DAO」のエピソードを知ると分かりやすいでしょう。
イーサリアムクラシックが誕生する前、イーサリアムには「THE DAO」というプロジェクトがありました。
しかし2016年、「THE DAO」の弱点によって50億円ものイーサリアムが攻撃者によって盗まれてしまいまいます。
このとき、イーサリアム内では、「被害者がかわいそうだから、ブロックチェーンを操作して犯人の攻撃を無効化してしまおう(なかったことにしてしまおう)」という議論がおきました。
そしてその「無効化」は実際に行われます。
しかし、そもそも仮想通貨は「人の手によって操作できない」という非中央集権性がメリットでしたよね。
いくらかわいそうだからといって、「無効化は許されないのではないか?」とする派閥もありました。
そこで、「無効化」に反発した一部のグループが立ち上げたのが「イーサリアムクラシック」というわけです。
僕としてはイーサリアムクラシック側の心情もよくわかります。
しかし、結果的には「本家」であるイーサリアムが時価総額2位を維持し、イーサリアムクラシックは35位に甘んじています(2020年11月現在)。
イーサリアムの将来性は?
それでは、イーサリアムの将来性をどのように考えればいいでしょうか?
イーサリアムは10年以内に「16倍」になる、との予想も!
2020年6月、仮想通貨の財務分析を行っているCrypto Research Reportは、イーサリアムは10年以内に40万円になると予想しました(ちなみにビットコインは10年以内に4,000万円と予想)。
これは、イーサリアムは現在価格からして約16倍に上昇することを意味しています。
Crypto Research Reportの根拠は、仮想通貨の今後のユースケース(交換機能、価値の保存、オンライン決済、ゲーム、ICOやSTOといった資金調達など)を考慮し、「イーサリアムが獲得できる可能性のある最大の市場規模(TAM)」を算出するというもの。
さらに、TAMのそれぞれのユースケースと市場に対し、イーサリアムがどれほど普及するかを予想しました。
これを示したのが上図で、もし同社の予想通りとなれば、イーサリアムは2030年に3,644ドル(39万円)となります。
イーサリアムは「プラットフォーム」として絶対的な優位性を持つ
プラットフォーム系仮想通貨には、いくつかの種類が存在します。
一例としては、
- Ethereum(イーサリアム/ETH)
- Ethereum Classic(イーサリアムクラシック/ETC)
- NEM(ネム/XEM)
- NEO(ネオ/NEO)
- Waves(ウェーブス/WAVES)
- Lisk(リスク/LSK)
- Byteball(バイトボール/GBYTE)
などなど。
注目すべきは、これらの中でイーサリアムの圧勝、一人勝ちが続いていること。
イーサリアムは仮想通貨市場での地位を絶対的なものにしつつあるため、後は世の中がブロックチェーンへのシフトを進めるなどし、市場規模が大きくなればイーサリアムも自動的に値上がりしていくとの見方も強くなっています。
事実、DApps(分散型アプリケーション)を例にとると、DAppsの開発者や、企業などが「イーサリアムを選択することを当然としている」ことは大きな追い風です。
優秀なサービスがイーサリアムに流れていれば、その分、イーサリアム全体の価値が高まり、値上がりしやすくなるからです。
イーサリアム2.0へのアップデートも控える
イーサリアム2.0とは、将来に予定されているイーサリアムの大型アップデートです。
イーサリアムの根本的な仕組みであるアルゴリズムを「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」へと移行することを主な予定としています。
その狙いは、スケーラビリティ(処理能力)の向上。
PoWはビットコインと同じ仕組みであり、「コンピュータの膨大な計算能力」によって取引の正しさを承認します。
これはセキュリティには優れるものの、取引の混雑時に取引の遅延や手数料の高騰が発生しやすくなります。
そこでイーサリアムはPoSへと移行し、「コンピュータの膨大な計算能力」ではなく「イーサリアムの保有量」が多いほど取引の正しさを承認できるようにします。
これによって、ガス(Gas)と呼ばれるイーサリアムの手数料の高騰を防ぐことができると期待されます。
ガスはネットワークの混雑具合に応じてその価格が自動的に変化します。
- イーサリアム取引量増加 → Gas(手数料)も増加
- イーサリアム取引量減少 → Gas(手数料)は減少
イーサリアム2.0になることで、将来的に「イーサリアムバブル」が到来し、コインの送金が活発になった場合にも、ガスが高騰しないことでプラットフォームとしての安定感を示すことができるでしょう。
僕自身、値上がり要因のひとつとして注目していますよ!