絆コイン(Kizunacoin/KIZ)とは
絆コインとは2018年に日本の巨大掲示板5chから誕生した国産の仮想通貨です。
同コインはグローバルで使用できる決済手段にする為、価値が一定で価格変動が殆ど起こらない「ステーブルコイン化」することを目的としています。
元々は『乞食コイン』という投げ銭に特化した通貨だったのですが、人々にこの通貨が認知されていくに連れ、名称のイメージが良くないということで現在の『絆コイン』という名称に変更されました。
この通貨の特徴は何と言ってもDAGと呼ばれるブロックチェーン技術を導入している点でしょう。
DAG(Directed acyclic graph)とは直訳すると有向非巡回グラフという意味であり、従来のブロックチェーンとの違いは取引データ(トランザクション)の承認方法にあります。
通常ブロックチェーンではマイナーと呼ばれる人々が特殊な計算を行うことで取引データを承認します。
それに対してDAGではマイナーは存在せず、DAGで取引を行ったユーザーが過去の取引データも承認する仕組みとなっています。
ではこの仕組みを導入することでどのような利点があるのでしょうか?
まず一つ目はマイナーを必要としない為、マイナーが取引データを処理しきれなくなった時に発生する所謂「スケーラビリティ問題」が発生しません。
二つ目は承認スピードの速さです。
取引を行うユーザー全てが過去の取引データを承認する為、承認スピードが従来のブロックチェーンを利用した仮想通貨よりも高速です。
最後に手数料の安さです。
前述してきたようにマイナーを必要としない為、マイナーの報酬に必要な取引の際の手数料がかからない、もしくは少額で済むという特徴があります。
株式会社KIZUNAに裁判で返金請求
絆コインは国産の通貨であることや、従来とは違う技術を導入していたこともあり注目されていました。
しかし、運営が上手くいかなかったのか2018年6月に絆コインプロジェクトの運営を行っていた株式会社KIZUNAの代表であるmori(本名:初瀬 正一)氏が自己破産をしたという情報が出回ります。
この時点でかなり怪しい雰囲気になっていたのですが、それから約一年後の2019年7月に決定的な事件が起きます。
なんと絆コインの根幹とも言える「ステーブルコイン化」の延期が発表されると同時にDiscordの公式コミュニティも閉鎖され運営者と連絡が取れない状態になってしまったのです。
これに対して絆コインに投資していたホルダーの男性が株式会社KIZUNA、および代表者の初瀬 正一氏を東京地方裁判所に提訴。
2019年12月23日、絆コインは敗訴し原告の男性に対して36万8560円の支払いが命じられました。
絆コインプロジェクトとizaya氏の関係
絆コインプロジェクトには提訴された代表者の「初瀬 正一」氏の他に共同運営者およびCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)のizaya(本名:原田 潤)氏も関わっていました。
CMOとは日本語で最高マーケティング責任者を意味し、その名の通り組織内のマーケティング活動を取りまとめる企業経営者のことです。
今回絆コインプロジェクトについて調査するにあたりizaya氏について調べましたがWeb上には殆ど情報が無く唯一、本人のTwitterアカウントの発言から分かったのが
「長らく運営者のmoriと共に絆コインプロジェクトを進めてきたが、彼の音信不通になるなどの不誠実な行動から、今後も共同でプロジェクトを進めることは難しいと判断し共同運営者ならびにCMOを退任する」
ということだけでした。
同氏はこの発言をした2019年9月25日以降Twitterの更新をしておらず、今後の対応については何も分かっていない状態です。
これを受けプロジェクトに投資していたTwitterユーザーからは不満の声が上がっています。
今後の絆コイン集団訴訟の展開は?
絆コインプロジェクトに投資した投資家達が集まり株式会社KIZUNAを集団訴訟しようという動きがありましたが2020年9月現在、特に大きな進展は無いようです。
訴訟に関する相談等は主に集団訴訟プラットフォーム「MatoMa」内で行われています。
現在は参加者は3人程度しかおらず、何かしらプロジェクト側に対応をして欲しい場合は直接連絡を取る、ないし裁判にて争うのが賢明です。
絆コインの売買はどこで出来る?
絆コインは海外のいくつかの仮想通貨取引所に上場しておりましたが、2020年9月現在は殆どの取引所から消えており、唯一「Bit-M」と「Bit-Z」という取引所でのみ確認することが出来ております。
絆コインに関する最新情報
度重なる運営の不祥事で2019年から長らく更新が止まっていた絆コインですが2020年現在、The KIZ Associationという協会が新たに運営となり、プロジェクトを継続させるようです。
協会のCEOは「Masaki KOBAYASHI」とあることから、恐らく日本人の方だと思われます。
オフィシャルウェブを見る限り、絆コインは海外での事業展開をメインに考えているのかもしれません。
返金沙汰による悪評や一度暴落した後からの復活は仮想通貨市場において非常に難しいため、新たなコインを発行し、新プロジェクトとして運営するのが理にかなっていると言えるでしょう。
ホルダーとしては、今後の上場はほぼ見込めないと思われますので、投資家としてプロジェクトに提案したり、動いていくことが求められるでしょう。