こんにちは、阿部です。
2018年5月24日、中国がある声明を発表しました。
「国をあげてさらにブロックチェーン技術の普及や実用化を加速させていく」といった内容でした。
中国でのブロックチェーンの普及は、仮想通貨市場にとってよい影響をもたらしてくれると期待してよいのでしょうか?
中国の声明の内容は?
中国の最高行政機関に「国務院」という機関があります。
1954年に設立された、中国の行政の決定においてもっとも重要な機関となります。
そんな国務院が、ブロックチェーン技術の発展を加速させるよう、地方金融当局と政府資金研究センターに伝えました。
国をあげてブロックチェーンを加速させるという明確な意思表示ですね。
国務院は2018年5月24日、以下の声明を発表したと伝えられています。
「私たちは法的コンプライアンスに従い、金融技術を広く開発し、ブロックチェーンとビックデータの活用についての研究を加速していく」
仮想通貨とブロックチェーンの違い
このような中国の声明を聞くと、「さらに仮想通貨が普及していく」という未来が感じられますよね。
しかし実は、それほど単純な問題ではなかったりします。
なぜなら、「ブロックチェーン」と「仮想通貨」は別のものだからです。
ブロックチェーン
ブロックチェーンについて深く知らないという方もいらっしゃると思います。
軽くご説明しましょう。
ブロックチェーンは、今後その普及がほとんど約束されているといってもよい、将来性有望な技術です。
仮想通貨で「土台」となるシステムを形作っており、ほぼ100%不正をすることができない仕組みが特徴です。
詳しく説明するとキリがありませんが、「オンラインのデータを高いセキュリティで保持したり取引したりできる仕組み」とざっくり説明することができます。
仮想通貨
仮想通貨は、ブロックチェーンを利用し、また土台として活用しながらオンライン上で「通貨」をやりとりする仕組みです。
ブロックチェーンそのものは「お金」ではありませんが、その土台の上に「お金」の仕組みを作ると、仮想通貨になるのですね!
中国は「仮想通貨」の普及は望んでいない?
少しがっかりしてしまうかもしれませんが、国家によっては、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨が普及してほしくない、と考えているケースもあります。
中国にもこれまでの仮想通貨への規制から、その傾向が見て取れます。
中国としては、「だれのものでもない仮想通貨」よりも「中国が発行した通貨」を使ってほしいと考えています。
そのほうが、中国としても管理しやすいと判断しているのかもしれません。
仮想通貨は最終的に普及する?
上記の記事内容をまとめると、
- 中国はブロックチェーンの可能性を高く評価している
- そのためブロックチェーンを国家戦略として活用していきたい
- しかも分散型ブロックチェーンよりも、中国の独自開発ブロックチェーンを普及させたい
ということになります。
それが今回の、国務院の声明に繋がっているといえるでしょう。
それでは、分散型の仮想通貨のブロックチェーンは、国家のブロックチェーンに負けてしまうのでしょうか?
たしかに、中国がイーサリアムなどの仮想通貨のブロックチェーンをすすめてくれるのが、もっともよいのですが、それは考えにくいのが現状です。
しかしそれでも、仮想通貨のブロックチェーンが価値を持たなくなるといったことはないでしょう。
両方のブロックチェーンが平行して使われるように
なぜなら、国家によるブロックチェーンと、イーサリアムなどの分散型のブロックチェーンは、それぞれ一長一短であり、使い分けられていく未来になるはずだからです。
それぞれが補い合う関係といったイメージですね。
「国家の仮想通貨が普及すると、これまでの仮想通貨は無価値になる」などの意見をまれに見かけますが、それぞれの性質の違いを理解すると、この疑問がわかりやすいのではないでしょうか?