「イーサリアムクラシック(Ethereum Classic/ETC)ってどんな仮想通貨なんだろう?」
「イーサリアムとの違いがよくわからないんだけど、何が違うの?」
という方はいませんか?
そんな方に向けて、今回はイーサリアムクラシックの以下のポイントについて徹底解説。
さっそく、詳しくみていきましょう。
イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)とは
イーサリアムクラシックは、2016年にイーサリアムの分裂(ハードフォーク)で誕生した仮想通貨。
DApps(分散型アプリケーション)を動かすプラットフォームとして使える点や、スマートコントラクト(契約機能)という機能を備えている点など、イーサリアムとの共通点は多くあります。
分裂によって誕生したため、もともとイーサリアムクラシックは「イーサリアム」でした。
ではなぜ、新たにイーサリアムクラシックが誕生したのでしょうか?
イーサリアムクラシックは「非中央集権の徹底」という思想を持つ
イーサリアムクラシックは、もともと1つのコインだった「イーサリアム」の内部で生じた、派閥争いによって誕生しました。
もともとは1つのコインだったので、両者は「ほぼ同じ機能を持つコイン」といっても過言ではありません。
しかし、大きな違いがひとつあります。それが「思想」です。
- イーサリアムクラシック:「ブロックチェーンは人為的に改ざんされるべきではない」というルールをあくまで徹底して守る方針(非中央集権の徹底)
- イーサリアム:「ブロックチェーンは人為的に改ざんされるべきではない」というルールを基本としながらも、場合によっては柔軟に対応する方針(若干、中央集権的でもある)
分裂のきっかけとなった「THE DAO」事件とは?
上記の思想やコンセプトは「THE DAO」のエピソードを知ると分かりやすいでしょう。
イーサリアムクラシックが誕生する前のイーサリアムには「THE DAO」というプロジェクトがありました。
しかし2016年、「THE DAO」の弱点によって50億円ものイーサリアムが攻撃者によって盗まれてしまいまいます。
このとき、イーサリアム内では、「被害者がかわいそうだから、ブロックチェーンを操作して犯人の攻撃を無効化してしまおう(なかったことにしてしまおう)」という議論がおきました。
しかし、そもそも仮想通貨は「人の手によって操作できない」という非中央集権性がメリットだったはず。
これを主張するグループは「無効化は許されない!」と主張しました。
しかし両者の溝は埋まらず、イーサリアムは無効化の実現を強行したため、非中央集権を主張するグループが「イーサリアムクラシック」を立ち上げました。
イーサリアムクラシックの将来性は?
それでは、イーサリアムクラシックの将来性をどう考えればいいでしょうか?
イーサリアムとの「差別化」が課題
イーサリアムクラシックは、2020年1月に重要アップグレード「Agharta(アガルタ)」を実施。
これによりイーサリアムの機能が使えるようになったり、同じくイーサリアムのチェーンとコラボレーションができるようになったりしました。
その狙いについて、開発者のTerry Culver氏は、
「ETCとETHの相互運用性の向上は、ETCのコミュニティとエコシステムの発展を加速する」
と主張しています。
しかしこれは、ある意味でイーサリアムに乗っかって成長するという宣言にも聞こえますよね。
過去には「イーサリアムよりも成功する」とさえ言われていたイーサリアムクラシックですが、2020年12月現在、
- イーサリアムクラシック:時価総額ランキング37位(約700億円)
- イーサリアム:時価総額ランキング2位(約7兆円)
と、規模でいうと100倍近い差をつけられています。
すでに「勝負あり」の状態なので、イーサリアムとの相互運用性を高めることで少しでも近づこう、という考えなのでしょう。
ただし、イーサリアムクラシック側がこんな敗北宣言のような開発方針を打ち出すということは、「イーサリアムとの差別化」に苦心しており、単独で価値を示すことが難しくなっていることを意味します。
イーサリアムクラシックは今後「IoT」で成長を狙う
ただしイーサリアムクラシックはもちろん、イーサリアムのコピーを目指しているわけではありません。
今後イーサリアムクラシックは、IoT分野に注力する方針を打ち出しています。
IoTとは「Internet of Things」の略。日本語で「モノのインターネット」ですね。
言葉どおり、あらゆるモノ(製品)がインターネットに接続されることを意味します。
たとえば、スマートスピーカー(GoogleHomeなど)も、IoTのひとつ。
IoT市場は今後、めざましい成長が期待されている分野で、調査会社IDC Japanによると国内の市場は、
- 2019年:7兆1537億円
- 2024年:12兆6363億円
まで成長する見通し。
IoTで先手を打ち、イーサリアムと「差別化」できれば価格上昇も期待できるでしょう。
ただし、まだ具体的な進捗には乏しい状況です。
現状、イーサリアムクラシックが勝っている点は「非中央集権的」であることなので、イーサリアムが「中央集権的」な体制を原因として失脚した場合には、イーサリアムクラシックにスポットライトが当たるかもしれません。